サイバー攻撃関連
今週のセキュリティニュース - 2025年8月22日
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はじめに
週刊インシデントまとめへようこそ!
ここでは、国内・国外で過去数日間に起こったサイバーセキュリティ関連のニュースやレポートなど、知っておくべきことをお伝えします。ぜひご覧ください。
目次
専門家が解説!今週のサイバーセキュリティの脅威と対策のポイント
国内では、今回報じられた中小企業への攻撃事例から、リソースの限られた組織が標的になりやすく、被害を完全に防ぐのが難しい可能性があることが示唆されます。特に大企業への侵入口として狙われるサプライチェーン攻撃のリスクが増大しています。さらに、Qilin(キリン)のようなRaaS(ランサムウェア・アズ・ア・サービス)型の犯罪グループが医療や製造業をも標的としている点は、社会インフラを担う分野でも攻撃者の活動が広がっていることを示しています。
国外では、人事ソフトウェア大手Workdayが外部CRM環境からメールアドレスや電話番号などを窃取されるなど、人的接触や外部サービスを起点とした攻撃リスクが改めて注目されました。さらにProofpointの調査では、ClickFixやQRコードを利用したクイッシングなどの新しい手法が増加しており、ユーザーの心理や操作の隙を突く攻撃がさらに巧妙化していることがわかります。
攻撃が多様化する中、多額の投資が難しい中小規模の組織こそ、費用対効果の高い対策から着手することが重要です。まずは情報資産へのアクセス制限を適切に行い、全従業員がすぐに実践できるセキュリティ教育に注力する。こうした現実的な一歩を着実に進めることが、自社の規模や業態に合わせた最適な防御策となります。
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国内の主なインシデント
「狙いやすい」が標的に - 中小企業で増加するランサムウェア攻撃の実態
「@IT」が8月14日に公開した情報によると、ランサムウェア攻撃被害が中小企業で増加しているとのことです。大企業がセキュリティ対策を強化する一方で、リソースが限られる中小企業は、攻撃が成功しやすい標的となりつつあるとしています。
中小企業をまず攻撃し、そこを足がかりとして本来の標的である大企業のネットワークへ侵入する「サプライチェーン攻撃」の入り口として狙われる可能性もあります。
攻撃を完全に防ぐことは不可能であるという前提に立ち、自社の事業規模や業態、取り扱う情報の重要度に合わせて対策を継続して実施することが不可欠です。

ランサムウェアグループ「Qilin」の国内被害
ランサムウェアグループ「Qilin」による攻撃被害が日本でも相次いでいます。日経クロステックの記事によると、Qilinは「RaaS(ランサムウェア・アズ・ア・サービス)」と呼ばれる分業体制で活動しているのが特徴で、攻撃実行役のアフィリエイトにランサムウェアを提供し、自身は身代金交渉を担当しているといいます。
Qilinは医療サービスを重点的に攻撃対象としているといい、日本も例外ではありません。医療だけでなく、製造業への攻撃の犯行声明も出ているようです。
Qilinの侵入経路としては、フィッシングメールが悪用されるケースも報告されています。そのため、「メールの送信元をよく確認する」「リンクを安易にクリックしない」といった基本的な対策が改めて重要になります。それに加え、フィッシング攻撃に強い「パスキー(FIDO2)」などを導入し、認証を強化することも推奨されます。

国外の主なインシデント
Workdayが声明 従業員狙う詐欺電話・SMSに注意喚起
人事ソフトウェア大手のWorkdayは、大規模なサイバー攻撃キャンペーンの標的になったことを公表しました。攻撃者は人事部やIT部門を装い、電話やSMSで従業員に接触し、認証情報や個人情報をだまし取ろうと試みているとのことです。
今回の侵害では、Workdayが利用しているSalesforceとみられる外部のCRMプラットフォームに不正アクセスがありました。顧客のシステムや内部データに被害はなかったものの、氏名、メールアドレス、電話番号といった連絡先情報が流出しました。流出した情報は、さらなる詐欺やフィッシングに悪用される可能性があります。
この攻撃の特徴は、国際的にSalesforce環境を狙っているとされるハッカー集団 「ShinyHunters」 による大規模キャンペーンと一致しており、Google、Chanel、Adidas、Louis Vuittonなど多くの著名企業も被害に遭っていると報じられています。

ClickFixフィッシング攻撃、1年間で約4倍に急増 - Proofpoint調査
サイバーセキュリティ企業Proofpointが発表したレポート「The Human Factor 2025 Vol.2」によると、フィッシング攻撃の手口が巧妙化・多様化しており、特に「ClickFix」と呼ばれる手法がこの1年で約4倍に急増しました。
この手口は、ウェブサイトの「私はロボットではありません」というCAPTCHA認証がエラーになったとユーザーを騙し、ブラウザの開発者ツールに不正なコマンドを貼り付けさせる詐欺です。
多くのユーザーは開発者ツールに不慣れなため、指示通りに操作してしまいがちで、結果として認証情報を盗まれたり、マルウェアに感染させられたりします。レポートでは、他にも遠隔操作を目的としたマルウェアや、SMSを悪用する「スミッシング」、QRコードを使う「クイッシング」といった新しいタイプの攻撃が増加していると報告しています。Proofpointは、こうした複雑な脅威に対抗するため、技術的な防御だけでなく、従業員の行動パターンに合わせた多層的な対策が不可欠だと指摘しています。

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