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2025年7月18日 週刊インシデントまとめ

対象期間:7月14日〜7月18日
執筆者:ISRセキュリティニュース編集局

はじめに

週刊インシデントまとめへようこそ!
ここでは、国内・国外で過去数日間に起こったサイバーセキュリティ関連のニュースやレポートなど、知っておくべきことをお伝えします。ぜひご覧ください。

専門家が解説!今週のサイバーセキュリティの脅威と対策のポイント

今週、金融庁はインターネット取引における認証方法や不正防止策強化に関する証券会社向けの監督指針の改正案を公表しました。
相次ぐ証券口座への不正アクセスを受け、ログインや出金といった重要な操作における多要素認証、特にフィッシング耐性の高いパスキーPKI認証の実装及び必須化が盛り込まれました。これにより、従来のパスワード認証だけでは安全が確保できない状況が明らかとなりました。金融業界で顕在化したこのリスクは、パスワード認証に依存する限りあらゆる業界に共通する課題であり、フィッシング耐性の高い認証方式への移行は、もはや避けられない流れと言えるでしょう。

また、国内で発生した保険業界のランサムウェア被害は、業務委託先を起点とした「サプライチェーンリスク」を改めて浮き彫りにしました。情報管理の範囲は自社だけでなく、委託先や関連会社まで含めた広範囲な対策が不可欠です。

国外の調査ではモバイルフィッシング脅威の深刻化が報告されています。攻撃者は、モバイルの音声やフィッシングメッセージを使って従業員を騙し、詐取した正規のアカウントを使ってアクセスを試みるため、従来のセキュリティ対策では防ぎきれない側面があります。さらに、Google Geminiのメール要約機能を悪用した新たなフィッシング手口も登場しました。企業は生成AIによる新技術の導入と並行して、その潜在的なセキュリティリスクを見極め、利用ガイドラインの策定や従業員への注意喚起を徹底する必要があります。

参考記事:【2025年6月】 多要素認証を義務化・推奨するガイドラインを紹介

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国内の主なインシデント

金融庁がセキュリティ強化へ、多要素認証の必須化などを提言

金融庁は7月15日、「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)を公表しました。

この指針案は、相次ぐ証券口座への不正アクセス問題を踏まえてインターネット取引における認証方法や不正防止策を強化するために改訂を行うとのことです。

改正案には「ログイン、出金、出金先銀行口座の変更など、重要な操作時におけるフィッシングに耐性のある多要素認証(例:パスキーによる認証PKI(公開鍵基盤)をベースとした認証)の実装及び必須化」との文言も盛り込まれており、安全な金融商品取引の環境構築に向けた取り組みが確実に進められていることがわかります。

金融庁がセキュリティ強化へ、多要素認証の必須化などを提言 | ISRセキュリティニュース編集局

参考記事:証券口座を狙う最新サイバー攻撃とMFA必須化の波 パスキー(FIDO認証)が切り拓く「フィッシングされない」未来

サイバー攻撃によるランサムウェア被害、複数の保険会社に影響

7月上旬、保険事故調査、保険や共済に関する調査等を行う企業がランサムウェア被害を公表しました。

サーバーが第三者により不正アクセスを受け、保存されていたファイルが暗号化されたとのことです。本事案の原因および漏洩の恐れがある情報は現時点で調査中としています。しかし、同社に業務委託をしていたとして複数の保険会社も顧客情報が漏洩した恐れがあることを発表しています。

当該被害企業はすでに被害の全容把握や復旧に向けて対応や調査を進めており、新たにお知らせすべき内容が判明した場合は速やかに情報を開示するとしています。

サイバー攻撃によるランサムウェア被害、複数の保険会社に影響 | ISRセキュリティニュース編集局

国外の主なインシデント

企業を狙うモバイルフィッシング詐欺 - Lookout調査

モバイルセキュリティを提供するLookoutの報告によると、企業はモバイルフィッシング詐欺への備えが不十分な状態にあることが判明しました。約6割の企業が役員になりすます音声やテキストによるフィッシング攻撃を経験し、過去半年間で77%が何かしらの攻撃を受けています。しかし、これほど広範な脅威であるにもかかわらず、「非常に懸念している」と回答した企業は半数に過ぎません。

ハッカーはモバイルを介したフィッシングメッセージを多用し、従業員からパスワードを騙し取り、企業ネットワークへ侵入しています。こうした手口は従来のセキュリティ監視では見過ごされがちです。

Lookoutは、多くの攻撃が気づかれず防御を難しくしていると指摘しています。実際、96%のセキュリティリーダーが従業員はフィッシングを見破れると自信を持つ一方で、半数以上が役員なりすまし詐欺の被害に遭っているという、認識と現実のギャップが浮き彫りになりました。

企業を狙うモバイルフィッシング詐欺 - Lookout調査 | ISRセキュリティニュース編集局

Geminiのメール要約機能の悪用による新たなフィッシング手口 - Mozilla調査

Webブラウザ「Firefox」を提供するMozillaの研究者が、Google Gemini for Workspaceのメール要約機能に新たなフィッシングの脆弱性を発見しました。この手口では、攻撃者がHTMLとCSSを使い、人間には見えない悪意のある指示をメール本文に埋め込みます。これにより、添付ファイルやリンクがなくても、悪質なメールが受信箱に届きやすくなります。

受信者がGeminiにメールの要約を求めると、Geminiは隠された指示に従い、「Gmailパスワードが侵害された」といった偽の警告や詐欺グループにつながるサポート連絡先を要約に含んでしまいます。多くのユーザーはGeminiの出力を信頼しやすいため、これを正規の警告と誤認し、提示された電話番号に連絡してしまう恐れがあります。その結果、フィッシング詐欺に巻き込まれる危険性が高まります。

Mozillaの研究者によると、このプロンプトインジェクション攻撃はすでに講じられた対策をすり抜けてしまうとのことです。Googleは防御を強化中としていますが、ユーザーはGeminiが生成したメール要約をセキュリティ警告として鵜呑みにしないよう注意が必要です。

Geminiのメール要約機能の悪用による新たなフィッシング手口 - Mozilla調査 | ISRセキュリティニュース編集局
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