サイバー攻撃関連
今週のセキュリティニュース - 2025年10月10日
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週刊インシデントまとめへようこそ!
ここでは、国内・国外で過去数日間に起こったサイバーセキュリティ関連のニュースやレポートなど、知っておくべきことをお伝えします。ぜひご覧ください。
業界
金融業
攻撃分類
フィッシング
サプライチェーン
ランサムウェア
目次
専門家が解説!今週のサイバーセキュリティの脅威と対策のポイント
今週のハイライト
- 証券口座被害で意識は高まるも、半数が具体的な対策不明
- サプライチェーン攻撃増加、企業全体で防御強化が課題
- ランサムウェア被害、身代金支払いでも完全復旧は困難
国内では、証券口座の不正アクセスを受け、6割超の人がセキュリティ意識を高めています。しかし、「具体的に何をすればよいか分からない」と回答した人が一定数おり、意識の高まりが全員の行動につながっているわけではありません。金融庁の報告によれば、多要素認証(MFA)の定着により、9月の被害件数は前月と比べ大幅に減少し、MFAが被害軽減に一定の効果を上げていることが示されています。ただし、被害が完全にゼロになったわけではないため、さらなる対策の検討が望まれます。ワンタイムパスワードやSMS等による従来のMFAではフィッシング攻撃に遭うリスクが残るため、より安全な手段としてFIDO2(パスキー)によるパスワードレス認証の導入が被害防止に有効です。継続的な警戒とこれらの防御策の併用が、被害リスクの低減につながります。
国外の調査では、CIPSがサプライチェーンへの攻撃増加を示しており、企業は自社だけでなく取引先も含めた防御体制の整備が求められます。さらにHiscoxの調査では、ランサムウェア被害企業の80%が身代金を支払っても復旧は確実でなく、約3分の1は再度の脅迫に直面しています。このことから、万が一ランサムウェア被害に遭遇した場合の復旧手順や情報漏えい抑止策を整備しておきたいところです。
これらを踏まえると、サイバー攻撃への備えは、技術のみならず、復旧策や日常的な運用の準備も含めて総合的に考える必要があります。こうした取り組みが、万一の被害を最小化し、企業の業務継続性や信頼を守るカギとなります。
認証セキュリティの強化をご検討中でしたら、ぜひ弊社までご相談ください。クラウドサービスへの多要素認証(MFA)導入やパスワードレス認証に関するオンライン無料相談を受け付けております。
国内の主なインシデント
相次ぐ口座乗っ取りとセキュリティ意識の変化
@ITが10月2日に公開した記事によると、相次ぐ証券口座乗っ取りで6割超がセキュリティへの意識が高まっているとのことです。
調査対象の70%以上の人が「セキュリティの知識を深めたい」と回答した一方で、「特に新たな対策はしていない」と回答した人は約24%を占めています。「具体的に何をすればよいか分からない」を理由として、対策をしていない人の中で約半数にのぼっていることがわかります。
推奨される対策の一つに、パスキー(FIDO2)によるパスワードレス認証が挙げられます。パスキー認証を利用できるサービスも増えているため、パスキーの設定が可能な場合は積極的に活用することが大切だと考えられます。

金融庁、証券口座への不正アクセスに注意喚起
金融庁は10月6日、相次ぐ証券口座への不正アクセスおよび不正取引の問題に関して、継続的に注意喚起を行っているページを更新いたしました。
今回更新された情報によれば、現時点で報告されている9月に発生した被害件数は前月と比較して大幅に減少していることがわかります。被害ペースの急減は、多要素認証(MFA)の定着によるものと推測されています。
しかし、被害を完全に防止するには至っていないのが現状です。証券口座に限らず、フィッシング攻撃の手口は、その時々の流行や社会情勢を悪用したものも確認されているため、利用者側での一層の注意が求められます。

国外の主なインシデント
サプライチェーンへのサイバー攻撃の脅威が急増 - CIPS調査
英国の公認購買・供給協会(CIPS)が9月に実施した調査によると、経営者の3分の1近く(29%)が、過去6か月における自社のサプライチェーンへのサイバー攻撃の増加を報告しました。
ジャガー・ランドローバー(JLR)やMarks & Spencer、Co-opなど大手企業への被害が相次ぎ、IT部門だけでなく経営層全体でサイバーリスクへの警戒が強まっています。
CIPSのベン・ファレルCEOは「企業はもはや孤立した存在ではなく、相互に依存するデジタル環境のなかで活動している」と述べ、強固な防御体制とサプライチェーン全体の脆弱性対策の重要性を強調しました。

ランサムウェア被害企業の8割が支払い、しかし復旧は不確実 - Hiscox調査
サイバー保険などを提供するHiscox社の最新の調査によると、調査対象の約6,000社のうち、59%が過去1年間に何らかのサイバー攻撃を経験したことがわかりました。特にランサムウェア攻撃を経験した企業は27%に上り、その80%が身代金を支払ったと回答しています。
しかし、身代金を支払っても復旧は保証されず、データの一部または全部を取り戻せたのは60%にとどまっています。さらに、約3分の1の企業が最初の支払い後に再度支払いを要求されたと報告しており、身代金の支払いが必ずしも解決に繋がらず、むしろ更なる恐喝を助長する可能性が示唆されています。
報告書は、攻撃者が経営層のメールや契約書、財務情報など、社会的信用に直結する機密情報を標的にしていると指摘しています。これは、個人情報よりも換金性が高く、企業の評判や信頼を失墜させることで金銭を要求する手口が増加しているためです。

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