IDaaS導入の背景と最新動向
サイバー攻撃の手口は日々高度化しており、リアルタイムフィッシングや巧妙なソーシャルエンジニアリングによって、認証情報が盗まれるリスクは増加の一途をたどっています。このため、すべての組織は、「情報漏洩を前提とする」という現代のセキュリティ原則に基づいた対策を講じることが必須となりました。
その戦略的な解決策がIDaaS(Identity as a Service)です。IDaaS市場は、世界的に年平均成長率(CAGR)13.8%以上で急速に拡大しており、これは企業がゼロトラスト(Zero Trust)セキュリティモデルへの移行を加速させていることが背景にあります。IDaaSは、このゼロトラストを実現する基盤であり、堅牢な多要素認証(MFA)と、継続的なアクセス制御を展開するための最も効果的なプラットフォームです。
出典: www.theinsightpartners.com/ja/reports/identity-as-a service-idaas-market
未来を守るIDaaS選定のための必須基準
適切なIDaaSプラットフォームの選択は、セキュリティ、生産性、コストに長期にわたり影響を与える重要な投資です。価格や現在の機能だけでツールを選ぶという過ちを避け、ビジネス成長に柔軟に対応できるかという長期的な視点で評価してください。
01 セキュリティの強さ:ゼロトラストとフィッシング耐性
ゼロトラストの世界では、IDが新たなセキュリティ境界となります。IDaaSは、このモデルを支えるセキュリティの要です。
| 機能 | なぜ重要か(セキュリティインパクト) |
|---|---|
| フィッシング耐性のある認証 | SMS認証や旧式のワンタイムパスワード(OTP)は、リアルタイムフィッシングに対して耐性がありません。FIDO2認証やパスキーのようなパスワードレス認証や、専用アプリによる生体認証を標準で提供しているかが必須要件です。 |
| 利用環境に応じた アクセス制御 | アクセス時に誰が、どこから、どのデバイスを使用しているかを常に検証する機能が必須です。アクセスの危険度(リスクスコア)に基づき、不審な挙動に対して追加認証を求めたり、アクセスを拒否したりできるかが重要です。 |
| デバイス検証と端末制限 | 企業リソースにアクセスしているデバイスが、組織が認めた信頼できる端末であるかを確認する機能(デバイス証明書など)が必要です。これにより、認証情報を盗んだ外部の攻撃者からの不正アクセスを遮断できます。 |
| サービスへの認可制御 | 認証後に「どのSaaSの、どの権限まで触れるか」を制御。最小権限の原則により、一部のIDが突破されても被害が全サービスに広がるのを防ぎます。 |
| IDライフサイクル管理 | 入退社に伴うIDの自動作成・削除(プロビジョニング)。退職者のID削除漏れという「最大のセキュリティホール」を自動化で防ぎ、管理コストも削減します。 |
02 連携とスケーラビリティ:ハイブリッド環境に対応できますか?
強力なセキュリティツールであっても、従業員がすべての業務アプリに簡単にアクセスできなければ、業務効率を損ないます。
| 幅広いSSO対応力 | 既存のすべてのクラウドサービスや社内システムに対してシングルサインオン(SSO)を提供し、新たなSaaSアプリにも容易に接続できるかを確認してください。シームレスな連携は、ユーザーの利便性向上とシャドーIT防止の鍵となります。 |
| ハイブリッド環境のサポート | オンプレミスのアプリケーションやActive Directoryに依存している場合でも、IDaaSがID管理と認証のポリシーをローカルシステムへ安全に適用できる連携機能を持っていることが重要です。 |
| 自動化されたID管理(プロビジョニング) | 新入社員の入社から退職まで、アカウントの作成、変更、無効化を、すべてのアプリで自動的に行う機能が必須です。これは、IT部門の手作業を大幅に削減し、退職者による不正アクセスという重大なセキュリティホールを排除します。 |
03 総所有コストと管理の容易さ
長期的なセキュリティ戦略においては、トータルコストと運用負荷が重要です。
| 透明性の高い価格設定 | デバイス制御や高度な認証機能が、高額なアドオン費用として別途発生しないかを確認してください。契約前に将来的な拡張コストを含めてTCOを把握することが、予期せぬ出費を防ぎます。 |
| 直感的でシンプルな運用管理 | 管理者ダッシュボードは直感的で、ITスタッフが容易に設定・運用できる必要があります。システムが複雑すぎると、設定ミスによるセキュリティリスクを生むだけでなく、管理者の離職にもつながります。 |
| 優れたユーザー体験(UX) | 認証プロセスがシンプルで迅速であることは、セキュリティポリシーの徹底に直結します。利便性が低いと、従業員はルールを回避しようとし、セキュリティ体制全体を弱体化させます。 |
事例紹介:将来の拡張性を見据えたIDaaS選定の重要性

導入の再選定には多大なコストと工数を要します。こうした事態を避け、将来の事業成長を支えるためには、初期段階から拡張性を見据えて選定を行うことが不可欠です。
株式会社M&A総合研究所は、以前利用していたSSOサービスからCloudGate UNOへの切り替えを行いました。その主な理由は、事業の拡大に伴い、当時のプラットフォームでは機能不足が生じたり、要件を実現するために多額の追加費用が必要になったりするケースが増加したためです。
同社は、CloudGate UNOが将来的なセキュリティや連携の要件を網羅しつつ、優れた費用対効果を提供できると判断して導入を決定しました。この事例は、IDaaSが単なるツールに留まらず、長期的な成長を支える戦略的なパートナーであることを示しています。
まとめ:IDaaSは戦略的投資である
IDaaSの選定は、企業のレジリエンス(回復力)への最も重要な投資です。日々進化するサイバー脅威からビジネスを守り抜くために、以下の3つの観点を軸に、最適なプラットフォームを検討してください。
- セキュリティ:ゼロトラストに基づいた「パスワードレス認証」に対応しているか
- 拡張性:将来の成長を見据え「広範なアプリ連携と自動化」ができるか
- 管理の容易さ:長期的な「運用コスト(TCO)」を最適化できるか
現在の要件のみに特化した選定を避け、これらの基準を軸に検討を進めることで、将来にわたってビジネスを強固に保護できるID管理体制を築くことができます。
