サイバー攻撃関連
今週のセキュリティニュース - 2025年9月26日
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はじめに
週刊インシデントまとめへようこそ!
ここでは、国内・国外で過去数日間に起こったサイバーセキュリティ関連のニュースやレポートなど、知っておくべきことをお伝えします。ぜひご覧ください。
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目次
専門家が解説!今週のサイバーセキュリティの脅威と対策のポイント
今週のハイライト
- 国内ランサムウェア被害が過去最多水準に
- 欧州空港で攻撃、便遅延など混乱拡大
- ランサムウェア侵入経路の35%がフィッシング
国内外の最新動向を見ると、ランサムウェア被害の深刻化が浮き彫りになっており、国内では今年上半期の被害報告件数が過去最多水準に達し、復旧費用が1,000万円以上に達するケースが6割近くを占めています。特にVPNやリモートデスクトップの認証情報が悪用される事例が後を絶たないほか、サイバー攻撃を受けた業務委託先を経由して大手企業の個人情報が流出するサプライチェーン攻撃も発生しており、自社の防御だけでは不十分であることが示唆されています。
一方、海外では欧州の複数の空港がランサムウェア攻撃を受け、フライト遅延や欠航といった混乱が広範囲に拡大しました。重要インフラを支えるソフトウェアベンダーが標的となれば、社会全体に甚大な影響が及ぶことが改めて浮き彫りになりました。また、SpyCloudの調査では、ランサムウェア侵入経路の35%がフィッシング攻撃であることが判明するなど、AIの悪用や「フィッシング・アズ・ア・サービス(PhaaS)」の普及によって技術力の低い攻撃者でも高度な攻撃を仕掛けられる環境が整いつつあります。
こうした状況は、「完璧な防御は不可能」という厳しい現実を示しています。だからこそ、企業は侵入を前提に、被害を最小限に抑えるための復旧力や判断力を強化することが重要です。認証情報やアクセス権限の棚卸しを徹底するだけでなく、委託先を含むサプライチェーン全体のリスクを洗い出し、インシデント発生時の対応計画を具体的に準備しておくことが求められます。事前の備えと迅速な対応が、組織の信頼を守り、事業を継続するための鍵となるでしょう。
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国内の主なインシデント
令和7年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について - 警察庁
警察庁は9月18日、令和7年上半期におけるサイバー空間の脅威に関するデータを公開しました。
それによると、令和7年上半期に報告されたランサムウェアの被害件数は116件にのぼり、令和4年下半期と並び最多となったとのことです。また、ランサムウェアの被害による調査・復旧費用が高額化しており、1,000万円以上を要した組織の割合は、前年同期の50%から59%に増加したと言います。
侵入経路としては、VPN やリモートデスクトップ用の機器が8割を占めるといい、その原因としては脆弱なID・パスワードが使用されていたことや、不要なアカウントの管理不備などが指摘されています。

委託先から情報が流出、サービスサプライチェーン攻撃で大手企業に被害
9月中旬、大手外食企業が従業員ら3万名分以上の個人情報が漏洩したと公表しました。原因は、同社が業務を委託するITサービス企業が昨年冬に受けたサイバー攻撃によるものだということです。
発表によると、漏洩したのは主にスタッフの従業員IDと氏名で、一部には生年月日などの情報も含まれていた模様です。住所や連絡先、給与といった重要な個人情報は含まれていないとされています。現時点では、二次被害も確認されていないとしています。
当該大手企業は今回の事態を受け、取引先企業に対してセキュリティ体制の抜本的な強化を要請するほか、外部委託先の選定基準や管理体制そのものを見直すなど再発防止策を徹底するとしています。さらに、自社で利用している他のシステムについても、個人情報の取り扱いに問題がないか総点検を進めるということです。

国外の主なインシデント
欧州の空港がサイバー攻撃で混乱
欧州サイバーセキュリティ機関であるENISAによると、ヨーロッパの空港がランサムウェア攻撃の影響を受け、混乱に陥っています。この攻撃は、米国のソフトウェア会社コリンズ・エアロスペースが提供する自動チェックイン・搭乗ソフトウェア「Muse」を標的としたもので、ロンドン・ヒースロー、ブリュッセル、ベルリンなど複数の主要空港に影響が出ました。
システム障害によってフライトの遅延や欠航が相次ぎ、ヒースロー空港では一部の航空会社が手作業での搭乗手続きに切り替えざるを得ない状況となりました。コリンズ社は復旧を進めていますが、作業は難航しており、現在はENISAや各国の法執行機関も加わり、事件の捜査が進められています。

2025年のランサムウェア攻撃の主因はフィッシングであることが判明 - SpyCloud調査
ID脅威保護プラットフォームを提供するSpyCloudの最新レポートによると、ランサムウェア攻撃の主要な侵入経路はフィッシングであり、その割合は前年から10ポイント上昇して35%に達していることがわかりました。
背景には、AIを悪用したサイバー犯罪や情報窃取型マルウェアの拡大があります。攻撃者はフィッシングメールや偽のWebサイトを使って認証情報やセッションクッキーを盗み出し、多要素認証を回避して企業ネットワークに侵入します。
また、フィッシングに直接起因するランサムウェアインシデントが急増しているのは、「フィッシング・アズ・ア・サービス(PhaaS)」と呼ばれるプラットフォームが普及し、技術力の低い犯罪者でも攻撃を容易に実行できるようになったためだと、レポートは指摘しています。

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