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サイバー攻撃関連

今週のセキュリティニュース - 2025年10月31日

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対象期間:10月27日〜10月31日
執筆者:ISRセキュリティニュース編集局

はじめに

週刊インシデントまとめへようこそ!
ここでは、国内・国外で過去数日間に起こったサイバーセキュリティ関連のニュースやレポートなど、知っておくべきことをお伝えします。ぜひご覧ください。

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製造業
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ランサムウェア
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インフォスティーラー
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専門家が解説!今週のサイバーセキュリティの脅威と対策のポイント

今週のハイライト
今週のハイライト
  • ランサムウェア被害企業の7割がシステムを完全復旧できず
  • ランサムウェアはデータ窃取型へ移行
  • 認証情報流出が拡大、パスキー導入が急務

サイバー攻撃の被害が深刻化する中、企業の復旧力が重要な課題となっています。国内調査では、ランサムウェア被害を受けた企業のうち、システムを完全復旧できない企業が7割、復旧に1週間以上かかる企業も7割に上ると報告され、特にバックアップの暗号化や感染範囲特定の困難さが復旧遅延の要因となっています。

攻撃者の手法も変化しています。身代金支払いの減少を背景に、ランサムウェア攻撃はシステム暗号化から機密データの持ち出しへと目的を移しつつあることが国外の調査で判明しました。さらに、大規模なインフォスティーラーによる認証情報流出が確認されており、不正アクセスのリスクを一層高めています。国内でも社員用VPNアカウントを悪用した侵入事例が報告されており、認証情報の窃取や不正利用を起点としてランサムウェア被害に至ったケースも確認されています。

こうした複合的な脅威に対しては、「迅速な復旧」を前提とした体制整備が不可欠です。侵入を防ぐと同時に、被害範囲を最小化するための対策として、多要素認証パスキーの導入による認証強化が有効です。その上で、安全なバックアップ環境の構築や復旧プロセスの定期的な検証を行うことで、障害発生時の復旧時間を短縮し、企業の「復旧力」を実質的に高めることができます。

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国内の主なインシデント

ランサムウェア攻撃におけるシステム復旧の課題

近年の調査によると、ランサムウェア被害を受けた企業のうち7割がシステムを完全に復旧できていないといいます。復旧が長期化する主な原因は、感染範囲の特定に時間を要することや、取得していたバックアップデータ自体が暗号化されてしまうことが挙げられます。

バックアップデータが暗号化される被害は、被害企業の約半数にのぼるという調査結果もあります。これは攻撃者が意図的に復旧手段を狙うためだと言われています。

サイバー攻撃を完全に防ぐことはできないと言われている今、復旧目標時間の再設定や事業継続計画の見直しが求められています。しかし、安全な復旧プロセスを確立している国内企業は少数に留まるといいます。迅速に事業を立て直す「復旧力」の強化は、企業価値を守るための重要な投資のうちの一つとして位置づけられます。

ランサムウェア攻撃におけるシステム復旧の課題 | ISRセキュリティニュース編集局

VPN経由のランサムウェア攻撃被害

10月下旬、ある製造業の企業がランサムウェア攻撃被害に関する第三報を公開しました。

この報告によると、10月上旬に社員用のVPNアカウントを悪用し社内ネットワークへ侵入され、数日後にシステム管理者アカウント権限を悪用されたといいます。当該企業は被害確認後、直ちにネットワークやVPNを切断するなど措置を講じたとしています。

調査の結果、通信の痕跡が確認され、極小容量ではあるものの顧客情報や個人情報が漏洩した可能性は否定できないと公表しています。現在はセキュリティ強化対策を進めているといいます。

VPN経由のランサムウェア攻撃被害 | ISRセキュリティニュース編集局

国外の主なインシデント

インフォスティーラーによる大規模認証情報流出

セキュリティ監視プラットフォームのSynthient社は約1年間にわたるインフォスティーラー(情報窃取マルウェア)の活動から得られた大規模な認証情報ログを分析し、その結果が著名な情報漏えい確認サイト「Have I Been Pwned(HIBP)」のデータベースに追加されました。

このデータには、2025年4月頃のログが大半を占める1億8300万件超の認証情報が含まれており、Gmailのほか、Microsoft OutlookやYahooなど主要メールサービスのアカウント情報も含まれ、被害の広がりが明らかになりました。

Googleは自社システムの侵害を否定し、既知のインフォスティーラーデータベースをもとにしたもので、新たな攻撃ではないと説明しています。同社は2段階認証の有効化や、より安全な代替手段であるパスキーの採用を推奨しています。

インフォスティーラーによる大規模認証情報流出 | ISRセキュリティニュース編集局

ランサムウェア攻撃の新標的、身代金支払い激減でデータ持ち出しが主流に

サイバーセキュリティ企業Covewareの最新レポートによると、ランサムウェア被害者が身代金要求に応じる割合は、2019年の約85%から、歴史的な低水準となる23%にまで減少しました。これに伴い、攻撃者の手口は、業務停止を狙ったシステムの暗号化から、機密情報を盗み出すデータ窃取へと変化しています。

2025年第3四半期には、ランサムウェア事案の76%でデータの持ち出しが確認され、攻撃者は公表の脅威を通じて、データ復元だけでは回避できない風評被害や法的リスクによる圧力をかけています。

Covewareは今後、資金力のある大企業を狙った標的型攻撃が増加すると予測しており、ミッドマーケット以上の企業には、脆弱性診断や強固なセキュリティ対策への投資が急務であると提言しています。

ランサムウェア攻撃の新標的、身代金支払い激減でデータ持ち出しが主流に | ISRセキュリティニュース編集局

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