サイバー攻撃関連
今週のセキュリティニュース - 2025年11月28日
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週刊インシデントまとめへようこそ!
ここでは、国内・国外で過去数日間に起こったサイバーセキュリティ関連のニュースやレポートなど、知っておくべきことをお伝えします。ぜひご覧ください。
業界
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攻撃分類
フィッシング
スパイウェア
ランサムウェア
目次
専門家が解説!今週のサイバーセキュリティの脅威と対策のポイント
今週のハイライト
- 証券系フィッシングが再び増加傾向。
- 学校写真サービスで個人情報流出懸念。
- 海外でスパイウェアとランサム被害が拡大し連鎖的に波及。
フィッシング対策協議会の10月フィッシング報告では、EC系やクレジット・信販系の分野を装う攻撃が多い中、前月には減少傾向にあった証券系を装う攻撃が再び活発化しており、利用者が正規サービスとの違いを判断しにくい状況が続いています。また、学校写真サービスの不正アクセスでは、脆弱性を突かれた結果、ダークウェブで情報保有を主張する動きまで確認され、その後のフィッシング攻撃へと連鎖する構図が浮かび上がりました。これらの国内事例に共通するのは、フィッシングの件数が減っておらず、窃取された情報が次のフィッシング攻撃に利用され続けている点です。
国外でも窃取情報の継続的な悪用や侵入後の展開が同様に深刻化しています。米CISAが警告したスパイウェア攻撃では、QRコード悪用やゼロクリックなど、多様な手口で端末への侵入を成功させ、その後のマルウェア展開やより深いアクセスを可能にしています。加えて韓国では、1つのMSP(マネージドサービスプロバイダー)侵害を起点に金融業界へ攻撃が波及し、結果的に100万件超のデータが窃取されました。サービス事業者や委託先の一社が狙われただけで、多数の組織が芋づる式に被害を受けるサプライチェーンリスクの深刻さが示されています。
こうした状況を踏まえると、防御の焦点は「自社の境界」ではなく、依存するサービス全体の連携構造へと広げて捉える必要があります。具体的には、委託先の監視体制や更新管理の実効性を確認するとともに、異常ログインやデータ転送を検知する監視基盤を強化し、攻撃が連鎖する前段階で気づける体制を整えることが重要です。攻撃経路が多様化する今こそ、単独の対策ではなく「つながり全体」を可視化・管理し、リスクをサプライチェーン全体で共有・対応する防御体制が求められます。
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国内の主なインシデント
フィッシング報告状況に関する月次レポート - フィッシング対策協議会
フィッシング対策協議会は11月21日、10月の月次報告を公開しました。
今回公開された情報によると、10月のフィッシング報告件数は225,796件で、前月に比べ僅かに増加しました。特に証券会社をかたるフィッシングメールの報告が10月は再び増加傾向にあるとのことで、引き続き注意が必要です。
正規メールと見分けがつきづらいフィッシングメールも存在しています。万が一IDやパスワードが漏洩してしまっても第三者のログインを防げるよう、利用しているオンラインサービスでパスキーや多要素認証が利用できる場合は、必ず設定することが推奨されます。

学校写真サービスに不正アクセス、個人情報流出の恐れ
学校行事の写真販売サービスなどを運営する企業がサーバーへの不正アクセスを受けたことを公表しました。
原因はソフトウェアの脆弱性によるもので、氏名や住所、電話番号、メールアドレス、パスワードといった個人情報が漏洩したおそれがあるとしています。同社によると闇サイト上で情報の保有を主張する声明が確認されたといい、実際に一部の利用者へはフィッシング詐欺とみられるなりすましメールが送信されている事象も報告されています。
当該企業は既に調査を実施しており、再発防止策としてこれまで実施済みの安全対策措置に加えてシステムのセキュリティ対策および監視体制のより一層の強化を行うとしています。

国外の主なインシデント
CISA、高度なスパイウェア攻撃に警告 モバイルセキュリティ対策を要請
米サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)は、巧妙化するスパイウェア攻撃への警戒を呼びかけ、特にメッセージングアプリが標的となっていると警告しました。
攻撃者はQRコードを使った端末の乗っ取りや、ゼロクリック型マルウェア、偽のアップグレードアプリなど多様な手口で端末に侵入し、その後のマルウェアの展開やより深いアクセスを可能にしています。
こうした攻撃は米国や欧州、中東でも確認されており、政府高官や軍関係者、市民社会団体の幹部などが主な標的とされています。CISAは、高度な攻撃が拡大している状況を踏まえ、組織に対しモバイル通信のセキュリティガイダンスや市民社会向けの助言を参照し、対策を講じるように促しました。

韓国の金融機関を標的とした大規模ランサムウェア攻撃
韓国の金融セクターを標的とした巧妙なサプライチェーン攻撃が発生し、Qilinランサムウェアによる攻撃が行われました。特に2025年9月には、韓国の被害件数が月平均2件から25件へ急増し、その全てがQilinによるもので、被害組織の大半が金融業界でした。
攻撃者は「Korean Leaks」と称して3回にわたりデータを公開し、28社から総計100万件超、2TBの情報が盗まれました。
攻撃は一つのMSP(マネージドサービスプロバイダー)侵害から多方面に広がったとされ、20社以上の資産運用会社が影響を受けました。専門家は、こうしたリスクに備えるため、多要素認証(MFA)、最小権限の原則、ネットワーク分割といった基本対策の徹底が不可欠だと警告しています。

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