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サイバー攻撃関連

今週のセキュリティニュース - 2025年11月21日

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対象期間:11月17日〜11月21日
執筆者:ISRセキュリティニュース編集局

はじめに

週刊インシデントまとめへようこそ!
ここでは、国内・国外で過去数日間に起こったサイバーセキュリティ関連のニュースやレポートなど、知っておくべきことをお伝えします。ぜひご覧ください。

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専門家が解説!今週のサイバーセキュリティの脅威と対策のポイント

今週のハイライト
今週のハイライト
  • VPN脆弱性で企業の対応遅延リスクが顕在化
  • 弱いパスワード使用が国内外で依然として多数
  • Tycoon 2FAで従来MFAの脆弱性が明らかに

現在のサイバー攻撃では、組織が抱える「管理体制の不備」と「認証システムの遅れ」が大きな弱点となり得ます。国内のVPN機器セキュリティ対策に関する調査では、問題発生時に対応すべき機器を即時に特定できない企業が6割を超え、人手やリソース不足が迅速な防御を妨げている実態が明らかになりました。攻撃のスピードに対し、現場の体制が追いついていない状況です。

また、攻撃者は認証の盲点を突き、Tycoon 2FAのようなフィッシングキットを使うことで、従来の多要素認証(MFA)は容易にバイパスされてしまいます。ユーザーの「確認」や「承認」を逆手に取る仕組みで、従来型の認証が新たな攻撃手法に対し有効性を失いつつあることを示しています。学校メールへの不正アクセス事案や国外調査で判明した単純なパスワードが使われ続ける実態も、初歩的な弱点が深刻な被害につながり得ることを示す警告です。

この状況を変えるには、「人手に依存しない防御」への転換が必要です。具体的には、フィッシング耐性の高いパスキー認証へ移行して認証基盤を強化するとともに、VPNやサーバーの脆弱性を自動スキャンし、重要度順に対応策を通知するなど脆弱性管理を自動化することで、攻撃への初動対応を迅速化できます。システムがヒューマンエラーを補完する体制を整えることこそ、強固なセキュリティ実現への近道です。

認証セキュリティの強化をご検討中でしたら、ぜひ弊社までご相談ください。クラウドサービスへの多要素認証(MFA)導入やパスワードレス認証に関するオンライン無料相談を受け付けております。

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国内の主なインシデント

VPN機器のバージョン、半数弱が「把握せず」 脆弱性対応に課題

大企業のVPN機器セキュリティ対策に関する調査結果が公表されました。この調査は、従業員1000人以上の企業のセキュリティ担当者300人を対象に実施されたものです。

この調査によると、約半数の担当者がVPN機器のバージョン情報を「正確には把握していない」と回答しています。また、脆弱性が発覚した際、6割超の企業が該当機器を「1日以内」には特定できていない実態も明らかになりました。

調査対象企業の約8割が、VPN機器の脆弱性対策の強化をすでに決定、または検討していると回答しており、自社のセキュリティ対策を見直す動きが始まっていることがわかります。

VPN機器のバージョン、半数弱が「把握せず」 脆弱性対応に課題 | ISRセキュリティニュース編集局

パスワード脆弱性狙われ、市立小中学校メールで不正アクセス被害

11月中旬、地方の市立小中学校の学校メールアカウントが不正アクセスの被害に遭ったことを県教育委員会が公表しました。

この被害により、業務外の約16,000のアドレスになりすましメールが送信されたと言います。被害の原因は、パスワードが類推されやすい脆弱なものであったためとされています。

県教育委員会は該当校のメール利用停止や不正アクセスの経路遮断といった措置を講じているといいます。また今後の対応として、監視体制の強化やパスワード管理を徹底するとしています。

パスワード脆弱性狙われ、市立小中学校メールで不正アクセス被害 | ISRセキュリティニュース編集局

国外の主なインシデント

2025年版 最も一般的なパスワード調査に見る変わらぬ脆弱性

パスワード管理会社NordPassの2025年版「最も一般的なパスワード(Top 200 Most Common Passwords)」調査によると、米国で最も使われているパスワードは「admin」と「password」で、依然として推測しやすい弱い設定が多く使われていることが明らかになりました。

こうしたパスワードは、ブルートフォース攻撃やクレデンシャルスタッフィング攻撃などで容易に突破されやすく、個人情報流出のリスクは高いままです。

また、これまでパスワード管理が甘いのは高齢層という見方がありましたが、調査は全世代で同程度に質が低いと指摘。年代によってよく使う文字列に違いはあるものの、「123456」など単純な数字列が年代を問わず上位に並ぶ実態が示されました。

2025年版 最も一般的なパスワード調査に見る変わらぬ脆弱性 | ISRセキュリティニュース編集局

Tycoon 2FAの脅威と従来型の多要素認証の限界

技術的な知識がなくても利用できるフィッシング・アズ・ア・サービス(Phishing as a Service)である「Tycoon 2FA」フィッシングキットを利用した攻撃が、今年だけで64,000件以上も追跡されるなど、世界的に急増しています。

これはMicrosoft 365などの主要プラットフォームを標的とし、正規の認証に見せかけながら、パスワードとMFAコードをリアルタイムで傍受する、高度な中間者攻撃(AiTM)ツールで、容易に企業へ侵入する手段となっています。

SMS、プッシュ通知、TOTPアプリなど、ユーザーが認証コードを入力・承認するタイプのレガシーMFAは完全に回避されてしまいます。そのため、Tycoon 2FAの脅威に対抗するには、物理的なFIDO2セキュリティキーへの移行が不可欠です。これにより、認証情報がデバイス内に厳重に保護できるため、偽サイトでは認証が成立せず、AiTM攻撃を根本的に防ぐことができます。

Tycoon 2FAの脅威と従来型の多要素認証の限界 | ISRセキュリティニュース編集局

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